「水」 慣用句・ことわざ・成句 60
頭から水を浴びたよう 思いがけなく恐ろしいことに出遭い、ぞっとするさま。
魚心あれば水心 相手が好意を持てばこちらもそれに応ずる用意があることをいう。
魚と水 互いに相手を欠くことのできない密接な間柄にのたとえ。
魚の釜中に遊ぶが如し 滅亡の近いことを知らないで呑気に暮らしていること。
魚の水に離れたよう 唯一の便りを失ってどうにもしようのないさま。
魚の水を得たるが如し なくてはならぬものに巡り会えた様。活躍に相応しい時期を得て生き生きしている樣。
魚の目に水見えず あまりに身近すぎてわが身に関する事はかえって気がつかないことをいう。
魚は江潮に相忘る 魚が湖や川で水の存在を忘れてのびのびと暮らすように、大道を知る人は小さな仁義を忘れて悠々と生きることのたとえ。
魚は鯛 魚類中一番味の良いのは鯛であるように、その類で最も優れているもの。
魚氷に上がる 七十二候の一つで陰暦正月の第3候。春
魚を得て筌を忘る 目的を達するとその手段は不要になり、顧みられなくなるたとえ。恩知らず。
遠水は近火を救わず 遠方に水は近所の火事を消す役には立たない。転じて遠方のものは急場の役には立たない。
渇すれども盗泉の水を飲まず どんな困難に出合ってもいかがわしいものの助けは借りない意。不正なことには手を出さない。
蛙の面に水 どんなに仕打ちを受けても平気なこと。注意されても叱られても一向に動じないこと。
籠で水を汲む いくら苦労しても一向に効果がないことのたとえ。
烏の行水 ろくに洗いもせず、さっさと入浴を済ますことのたとえ。
君子の交わりは淡きこと水の若し 君子の交際は水のように淡白であり、いつも変わることがない。
凹き所に水溜まる くぼんだ所に水が溜まるように招かずしてあらわれる物事の結果をいう。低い地位や苦しい境遇にある者には種々の苦難が集まる。平生評判の悪い者は何かあるとすぐその仕業かと疑われる。
氷は水より出でて水よりも寒し 弟子が師にまさることのたとえ。
上手の手から水が漏れる 上手なものでも時には失敗することがある。
水火も辞せず 水に溺れ火に焼かれる程の苦痛や危険をもいとわず物事に尽力する。
水火を踏む 苦痛極まりない境涯に落ちること。また、危険を冒すこと。
水魚の思い 交情の極めて親密なことのたとえ(太平記)
水魚の交わり 親密で離れ難い友情や交際のたとえ(三国志)水魚の親、水魚の因み
漱石枕流 負け惜しみの強いこと。石に漱(くちすす)ぎ流れに枕す。
畳の上の水練 理論や方法は知っていても実地の訓練をしてないために実際の役に立たないこと。
立て板に水 物事が滞らず滑らかにゆくさま。弁舌がすらすらとして淀みのないさま。
知者は水を楽しむ 水が一カ所に停滞せずに流れて行くように、知者は臨機応変に事を処理する。
血は水より濃い 血筋は争われず、他人よりも血縁の人との繋がりの方が強い。
年寄りの冷や水 老人に不似合いな危ういことをするさま。
寝耳に水 不意なことが起こって驚くことのたとえ。
背水の陣 一歩も引くことのできない絶体絶命の立場。失敗すれば再起できないことを覚悟して戦力を尽くして事に当たること。史記(准陰候伝)
火の中水の底 ひどい苦しみや困難な境遇のたとえ。
覆水盆に返らず いったん離別した夫婦仲は元通りにならない。一度してしまったことは取り返しがつかないこと。
萍水相合う 浮草と水が出会う。流浪する者通しが偶然知り合うことのたとえ。
水かけ論 双方が互いに理屈を言い張って果てしなく争うこと。水掛け合い。
水が合わない その土地の風土、気風が自分に合わない。
水が入る 相撲で勝負が決せず双方が疲れた時休ませ力水をつけさせること。
水清ければ魚棲まず あまり清廉過ぎるとかえって人に親しまれないということ。清水に魚棲まず
水清ければ月宿る 心が清らかであれば神仏の加護があるということ。
水と油 互いに交り合わないもののたとえ。
水濁れば即ち尾を掉うの魚無し 水が濁ると泳ぎ回る魚はいない。政治が正しくないと自由で楽しい生活を送っていられないというたとえ。
水にする 空しくする。効果を失わせる。
水に流す 過去の事をとやかく言わず、全てをなかったこととする。
水になる 無駄になる。ふいになる。
水に慣れる 新しい土地や環境に慣れる。
水温む 春になって水にあたたかさが感じられる。
水の低きに就くが如し 物事は自然の成り行きに従うということ。自然の勢いは人の力では止め難いということ。
水は方円の器に随う 民は君主の善意に感化されてどちらにでもなる。人も交友、環境によって善悪のいずれにも感化される。
水も滴る みずみずしい美しさを形容することば。
水も漏らさぬ 少し間隙もなく敵を囲むさま。防御、警戒の厳重なさま。工場が極めて親密なさま。
水をあける 競っている両者の間にかなり差をつける。
水を打ったよう 大勢の人が誰も口をきかず静まりかえっているさま。
水を得た魚のよう 自由に活動できる場を得て生き生きとしているさま。
水を掛ける 盛んな勢いをそぐような邪魔をする。
水をさす うまくいっているのに邪魔をして不調にする。
水を向ける 相手の関心をある方向へ向けるように誘いをかける。暗示を与えて様子を探る。
水を割る 濃い液に水を加えて薄める。
焼け石に水 焼けた石に少しの水をかけても冷めないように援助や努力が僅かで効果が上がらないたとえ。
酔い醒めの水下戸知らず 酔いからさめた時に飲む水のうまさは酒の飲めない人にはわからないということ。
『方丈記』1212 鴨長明(1155‐1216)
方丈記は「人と栖(すみか)」をめぐる無情の問題を提示している。
「行く川のながれは絶えずして、しかも本の
水にあらず。淀みに浮かぶうたかたはかつ消えかつ結びて久しくとどまるためしなし。」
これは方丈記の出だしで、川の流れは絶えることなく、水面に浮かぶ泡ははかなく消えやすいことのたとえで使われる。世の中の人もすみかも同じである。
多くの
「水」を使った語句があるのは、水が人間にとってなくてならない大切なもので、私たちの生活と密接にかかわっている証拠である。