幸せ
「私たちが何を測るかが、私たちの行動に影響を与える。もし間違った指標を使っていれば、間違ったことのために努力することになるだろう」ノーベル経済学賞を受賞したジョセフ・スティグリッツ氏の言葉である。私たちは多くの場合、社会の進捗を測るためにGDP国内総生産を指標としている。世界各国ではGDPの変動に一喜一憂するほど、GDPの成長率は多くの人の関心事である。
GDP Gross Domestic Product 国内総生産 GNP Gross National Product 国民総生産
GDPは1934年にアメリカ連邦議会のために経済学者のサイモン・クズネッツ氏が開発したGNPが元になっている。これが第2次世界大戦中に国家の軍需生産を測る指標として使われ、その後国家の経済成長を測る指標として定着した。戦車や大砲をどのくらい作ったかを調べたもので、社会の豊かさや人々の幸せを測ったものではなかった。1943年議会でクズネッツ氏本人がGDPで国の豊かさを測ることはできないと証言している。GDPは1年間に国内で新たに生産された財・サービスの価値の合計で国内総生産から海外での純所得を差し引いたものである。ものやサービスが生み出されて市場で取引されお金が動けばGDPは上がる。例えば災害、環境汚染、交通事故、暴力事件などが起これば起こるほど医療費や建設費、警察官の超過手当なども計上され、GDPは上がるというものだ。逆に家事や育児、ボランティア活動など幸せを作りだしていても市場で取引されなければGDPには反映されないのだ。ゆえに、GDPでは幸せは測れない。
GNH Gross National Happiness 国民総幸福
GNHを国の進捗の尺度にしているのがブータンである。 国の力や進歩を生産ではなく幸福で測るという考えである。先進国の経験やモラルを研究した結果、「経済発展は南北対立、貧困問題、環境破壊、文化の喪失につながり、必ずも幸せにつながるとは限らない」という結論に達したそうである。GDP増大対策は取らず、1970年代に人々の幸せを求めることに重点を置く考えに達した。
GNH概念
1.公正で持続可能な社会経済の発展 全ての国民、地域に対して経済開発や社会発展の実現
2.自然環境保全 豊かな生態系や自然環境を守る
3.伝統文化の保全と促進 固有の伝統文化の継承
4.良い政治 住民参加型の国民誰にも開かれた透明性の高い政治運営
4つの柱として開発を進めている。1999年にGNHの指標作りが始まった。GNH指標は暮らし向き・健康・教育・コミュニケーションの活力・良い政治・時間の使い方・文化の多様性・生態系・心の健康の9つの要素から成り立っている。ブータンは国民一人当たりのGDPは低い発展途上国だが、国土の多くが自然保護区でホームレスはいない。「幸せですか」との問いに国民の97%が幸せと答える。世界にはこういった国はまだあると思う。日本ではブータンの知名度は上がったが住みたいと思う人はどうだろう。
人は現実的であり、かつ我儘である。何事も現状を考えることが先決である。今やお金や物欲的な成長を追い求めることが本当の幸せに役立つと思う人は少ないだろう。
自分が楽しくなければ人を楽しませることはできないというが、人は自分がすごく幸せでなくても誰かを幸せにすることはできるような気がする。
枝廣淳子共著GNH国民総幸福論(海象社)参考
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